知っておきたい油圧鉄筋カッターのオイルの種類と入れかた

鉄筋カッターにオイルをいれることが重要なのは分かったけど、

『オイルは何を買えばいいの?専用のものじゃなきゃダメ?』

『オイルを入れたけど、パワーがなくて切れない』

などの疑問がでてくるとおもいます。

ここではオイルの種類と入れかたについて

まとめてみました。

実はオイルの入れかたにもコツがあります。

記事を読むことで、上手なオイルの入れかたを

マスターできますので、ぜひ実践してみてください。

ナカタニ機工

こんな悩みを解決できる記事を書きました。
年間100台以上の鉄筋カッターを修理しています。

1.鉄筋カッターの作動オイルはなんでもいいの?

 オイルを購入する時に気をつけることは、

 『オイルの種類』、『オイルの粘度』

 この2つになります。

 オイルの種類と粘度については

 お持ちの鉄筋カッターの説明書やメーカーの公式サイトを

 見ると確認することができます。

 下記は参考として、オグラの鉄筋カッターのサイトです。

 ▼オグラ 油圧オイル

オイルの種類 : 当社純正オイルをご用命ください

オイルの粘度 : ISO粘度#32、#46

1-1 オイルの種類

 オイルの種類に関しては、純正品を使用してくださいとありますが

 ホームセンターで売っている「油圧作動油」と

 記載されているオイルならば問題なく使用できます。

 ただし油圧作動油以外のオイルを使用すると、内部部品などが破損して

 故障してしまう危険があるため、注意しましょう!

1-2 オイルの粘度

 オイルの粘度についてですが、機種によって粘度の指定があります。

 簡単に説明すると数字が小さいほど、粘度の低いサラサラしたオイルになり、

 数字が大きくなると粘度の高いドロドロとしたオイルとなります。

粘度が低い : サラサラでパーツへの負荷が小さいが、切る力が弱い

粘度が高い : ドロドロでパーツへの負荷が大きいが、切る力が強い

 こんな認識でいいと思います。

 ただし、切る力を強くしたいからといって

 メーカーの指定と異なる粘度を使用した場合、

 鉄筋カッターが壊れる可能性があります。

 必ず指定された粘度のオイルを使いましょう。

2.各メーカーの指定する鉄筋カッターの作動オイルは?

 純正オイルでなくても問題ないと書きましたが、

 鉄筋カッターの性能を1番引き出すことができ、

 安心して使うことができるのは、メーカー推奨のオイルとなります。

 参考に主要メーカーの純正オイルをまとめました。

 ホームセンターでは手に入らないとおもいますので

 購入する場合は、鉄筋カッターを買った専門店やオンラインショップにて購入してみてください。

 オグラ  : 純正オイル(オグラ製)
        オグラ:総合カタログ  オグラ:油圧オイル

 マキタ  : マキタ純正油圧オイル(マキタ製)

        スーパーハイランド #46(ENEOS製)
        マキタ:総合カタログ  マキタ:取扱説明書検索

 IKK   : モービル・ヌトー H46(エクソンモービル):コードタイプ
        シェル・テラス S2 M32(昭和シェル石油):コードレスタイプ
        IKK:総合カタログ
  IKK:取扱説明書

 HIKOKI : ヘビーメデアム(エクソンモービル)、

       またはモービルハイドロオイル VG46(エクソンモービル)

        モービル・ヌトーH46(エクソンモービル)、

       または国際ISO補助粘度グレード46(VG46)相当品
        HIKOKI:総合カタログ  HIKOKI:取扱説明書検索

 育良精機 : IKURA純正油圧作動オイル(ISOVG32)
        育良精機:総合カタログ  育良精機:鉄筋カッター(ページ下部)

 ※機種によってオイルの種類や粘度に違いがあるため、
  持っている鉄筋カッターのオイルをリンク先から確認してみてください

3.鉄筋カッターへの作動オイルの入れかた

 オイルをいれてもパワーが不足していたり、

 ピストンが出きらない、動きが遅いといったことがあります。

 それはシリンダー内に空気が入ってしまい、

 オイルが十分にいれられてない可能性があります。

 ここではオイルの上手な入れかたを紹介しますので
 ぜひコツを覚えて実践してみてください。

●鉄筋カッタへの上手な作動オイルの入れかた

①: スイッチを押し、ピストンが戻る手前までだしておき、
   シリンダーにまんべくなくオイルが行き渡るようにする
   ※ピストンが指示位置まででない場合でも、②に進んでください

②: シリンダー側面の注入口よりオイルを口元いっぱいまで入れる
   ※注入口が上にくるように本体を傾けることで
    シリンダー内部の空気(気泡)がより抜けやすくなります

③: ふたのボルトを締めてスイッチを押し、4~5回ピストンをだしいれさせ
   シリンダー内部にオイルをいきわたらせる

④: ①~③を繰り返して、注入口の口元(ネジ山の上部)より

   オイルが減らなくなったのを確認する  
   気泡がでてこなくなれば、オイル量は十分です

スイッチを押しピストンを出す
通常のピストン位置
戻る手前のピストン位置
ボルトを外してオイルを入れる
作動後に口元まであればOK

 オイルを十分にいれても、鉄筋カッターが切れない場合

 パッキンの破損などの可能性があります。

 そういった場合は、下記にも目を通してみてください。

 ▼鉄筋カッターが鉄筋を切れない時の原因は?

4.作動オイルの取扱い注意点

4-1 オイルの劣化

 長いあいだ、鉄筋カッターを使用していると

 オイルが劣化したり、内部部品の摩耗で鉄粉が混じってきます。

 オイルが劣化した状態で使用を続けると

 内部のパッキン部品が破損しやすくなります。

 目安としてオイルが黒く変色していたら、

 オイルの交換をおすすめします。

●確認方法

 シリンダー側面の注入口をあけ、いらない布をあてる
 本体を傾け、布をオイルで湿らせ色が黒くなっているか確認


●対処方法

 オイルを新品に交換する

4-2 オイルの廃棄方法

 オイル交換をする場合、廃油(使い終わったオイル)を処理する必要がありますが、

 目に入ったり、皮膚に触れると炎症がおこる危険があります。

 また発火の可能性もあるため、専門の処理業者に頼むのが1番ですが

 個人で廃棄する場合は、必ず各自治体の処理方法に則って処理をしてください。

●対処方法
 廃油処理業者に処理をおねがいする

 個人の場合、各自治体の処理方法に則って処理する

4-3 季節による注意

 冬場や、寒い場所で鉄筋カッターを使用する場合

 オイルが冷えて固くなっています。

 そのためオイルが流れにくく、ピストンの動きが

 遅くなったり、パワーが出ない場合があります。

 逆に夏場や、暑い場所で使用する場合

 オイルが熱くなり粘度が低下します。

 粘度が低下しオイルがさらさらになりすぎると、

 パワーダウンして切れが悪くなります。

●対処方法

 冬場 : 使用前に暖気運転をしてオイルを温める

 夏場 : 本体を冷ましてから使用する
     日陰など涼しい場所で使用する

●暖気運転のやりかた

 なにも材料をはさまない状態でスイッチを1分程押し続け
 モーターを連続運転させる
 ※スイッチ部分についているピン(ロックピン)を使うと
  スイッチを押し続けなくても、連続運転させることができます
 ※ロックピンは暖気運転用のものなので
  切断作業で使用しないでください

スイッチとロックピン
 
通常時のロックピン
 
スイッチを押した状態
ロックピンを押す 

5.まとめ

 『油圧作動油』を使うこと、『指定された粘度』を合わせること

 この2つが特に重要になってきます。

 またオイルの状態や入れかた1つで、作業効率が大きくかわってきます。

 長時間使用したり、放置していた場合

 オイルの交換やつぎ足しをしてみましょう!

 オイル交換の次に『替刃』や『カーボンブラシ』の交換といった

 メンテナンスが気になったかたは

 下記にも目を通してみてください。

 ▼鉄筋カッター替刃の交換時期と種類

 ▼カーボンブラシの交換時期と注意点

この記事を書いた人
ナカタニ機工は鉄筋事業者様向けの
機械/道具の修理屋さん、及び販売店。
年間100台以上の鉄筋カッター、ベンダーの
豊富な修理実績があります。
30年以上修理に携わってきた経験・ノウハウがあるからこそ、
的確な修理をご提供いたします。
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