鉄筋カッターのピストンが戻らないのは故障?

鉄筋カッターが切れない、モーターが動かないなどの

故障の他に、よくおこる問題が

『ピストンが完全に戻りきらない』

『ピストンが出たまま戻らない』

といったピストンの作動不具合です。

この記事では、鉄筋カッターのピストンが

戻らない原因について紹介します。

最後まで読んでもらえれば、ピストンが戻らない原因と

ちょっとした症状であれば対処方法がわかるようになります。

ナカタニ機工

こんなお悩みを解決できる記事を書きました。
この記事を書いている私は、
年間100台以上の鉄筋カッターを修理しています。

1.鉄筋カッターのピストンが戻らない症状は2つ!

 ピストンが戻らない症状としては、

 大きくわけて2パターンあります。

 スイッチを押しても

 『ピストンは動くがおくまで戻りきらない』

 『ピストンが全く動かない』

 困っているかたの症状はこのどちらかだと思います。

 軽い症状であれば簡単に対処できる場合があるので、

 まずは下記の方法をためしてみてください。

コードレスタイプ
リリースバルブ箇所
作動方向に軽くたたく

●確認方法
 スイッチを押して、ピストンが動くかを確認

 ピストンまわりに鉄クズなどが引っかかっていないか確認

●対処方法:全く動かない場合
 ピストン周りの掃除をする

 リリースバルブを緩めて油圧をさげる
※機種によってはついていない場合があります
※オイルが出るので気をつけてください

 ピストンを作動方向に軽くプラスチックハンマーでたたく
※強くたたくと鉄筋カッターが壊れるので、1~2回軽くたたくこと

2.鉄筋カッターのピストンが戻らない原因とは

鉄筋カッターのピストンが戻らない原因は3つあります。

それぞれの原因について紹介していきます。

2-1 パッキンの破損

 スイッチを押してピストンが軽く動くけれど戻りきらない。

 この原因の多くがシールパッキンの劣化による破損です。

 破損したシールパッキンがシリンダー内部の

 ピストンの動きを邪魔しているため、

 正常な位置まで戻らなくなっていると考えられます。

 この症状はシールパッキンの破損により

 鉄筋カッターのパワーダウンも同時に発生するため見つけるのが簡単です。

パッキン箇所
新品のパッキン
劣化して亀裂の入ったパッキン

●確認方法
 スイッチを押して、数回ピストンを動かしても
 ピストンが戻りきらないことを確認


 鉄筋を切ろうとしても、パワー不足で切れないことを確認

●対処方法
 シールパッキンを新品に交換する

2-2 バルブスプリングの破損

 ピストンが全く戻らない原因の1つは

 バルブスプリングの破損です。

 バルブスプリングは、ピストンが出きったあとに、

 油圧を抜いてピストンを戻す働きがあります。

 この部品が破損していると油圧が抜けなくなるため、

 ピストンが戻らなくなります。

ピストンの下部にバネ    
※メーカーにより構造が違います
写真の機種はバネ2箇所
 

●確認方法
 ピストンが戻らない状態でシリンダー側面のオイル注入口を開き、
 オイルを抜いてピストンが正常な位置に戻るか確認

※バルブスプリングが原因の場合はピストンが戻ります

※リリースバルブがある場合はリリースバルブを緩めてください

※オイルが出るので気をつけてください

●対処方法
 バルブスプリングを新品に交換する

 オイル注入口の位置や廃棄方法についてはこちらをチェック

 ▼知っておきたい油圧鉄筋カッターのオイルの種類と入れかた

2-3 ピストン変形

 症状として1番重症なのがピストンの変形です。

 ピストンに異常な力が掛かると、

 ピストンが変形して反ってしまいます。

 反りが大きい場合、ハウジングと干渉してピストンが

 戻らなくなってしまいます。

ハウジングと干渉して
動かない        
ハウジングと干渉して
 戻らない       
黄色実線のように反りが出る
※写真は反り無し部品
    

●確認方法
 ピストンが戻らない状態でシリンダー側面の注入口を開き、
 オイルを抜いてピストンが正常な位置に戻るか確認
 

※ピストンが原因の場合はピストンが戻りません

※リリースバルブがある場合はリリースバルブを緩めてください

※オイルが出るので気をつけてください

●対処方法
 ピストンを新品に交換する

 オイル注入口の位置や廃棄方法についてはこちらをチェック

 ▼知っておきたい油圧鉄筋カッターのオイルの種類と入れ方

3.まとめ:鉄筋カッターのピストンが戻らないときは修理が必要!!

 ピストンが戻らない症状の場合、

 基本的に部品交換をしなければ改善は見込めません。

 無理に動かしたり、ピストンを強くたたいて戻すと

 ピストンだけでなく相手側のハウジングが傷ついてしまいます。

 その場合、高額な修理となる場合があります。

 まずは修理屋さん、またはメーカーに持って行き、

 見積もりをしてもらうことをおすすめします。

 ピストンが戻らない他にも、『鉄筋カッターが切れない』

 『モーターが動かない』『修理に出したい』といった

 修理内容について詳しく知りたい方はこちらをチェック!

 オイルの入れかたや廃棄方法について詳しく知りたい方はこちらをチェック!

 新品や中古の鉄筋カッターの購入を検討している方は

 下記にも目を通してみてください。

この記事を書いた人
ナカタニ機工は鉄筋事業者様向けの
機械/道具の修理屋さん、及び販売店。
年間100台以上の鉄筋カッター、ベンダーの
豊富な修理実績があります。
30年以上修理に携わってきた経験・ノウハウがあるからこそ、
的確な修理をご提供いたします。
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